緊急フォーラム「震災を考える」のご報告(野手)

 

「住まいの耐震改修のおすすめ」

 

木造家屋の耐震設計基準は大きな地震があるごとにより堅固な構造を要求してきました。特に昭和56年以前に立てられた木造住宅は大地震に対する危険性があります。私の経験からも中越地震の調査の際もそれを実感しました。

全国の自治体で住宅の耐震化を薦めていますがまだまだ達成率は低いのが現状です。「備えあれば憂いなし」「災害は忘れた頃にやってくる」といわれていますが「大きな地震はまず来ないだろう」が大半の人々の考え方だろうと思います。

金沢市では古い木造家屋の耐震化を進めるために補助金制度があります。耐震診断、耐震設計、耐震改修工事に併せて160万円まで補助してくれます。もちろん他の市長村にも似た制度がありますので、この際是非考えられたらどうでしょうか。まずは市町村の担当窓口に相談され、専門家を紹介してもらい安心で安全な住まいを長く使っていただきたいと思います。

 


緊急フォーラム「震災を考える」のご報告(松本)

 震災フォーラムでは、カタログ会員の普段からの建築への取り組み
の多様さから、構造、診断、耐震診断等、様々な
とらえ方を感じることができて、勉強になりました。被災地への支
援はこれから、我々建築士が現地へ赴く局面が
あるかと思いますが、是非現地に行って、震災を実感しつつ、支援
して行きたいと思っています。

緊急フォーラム「震災を考える」のご報告 長村峰行

緊急フォーラム「震災を考える」

被災建築物応急度判定について少しお話をさせていただきました。

 大地震が発生すると新聞やTVニュースで「応急危険度判定」という言葉が出てきます。傾いた住宅等の建築物に赤い紙や黄色の紙が貼られた映像を目にします。これが被災建物の危険度を示す目安となります。

 被災建築物応急度判定は、地震により被災した建築物について、その後の人命に係わる2次的災害を防ぐことを目的に、主に行政が速やかに調査しその結果を赤、黄、緑の用紙に判定結果を記入し、被災建築物に貼ります。

赤紙−危険です。近づかないでください。一見被害が少なく見えても、タイル
   や瓦等、落下しそうな場合でも赤になります。
黄紙−要注意。中に入れますが、余震等で状況が悪化するおそれがあります。
緑紙−調査の結果、使用するにあたり支障ありません。

 以上が大まかな目安です。今回の地震後の余震は大きな揺れを伴っていますので、その時点で再度応急危険度判定が必要になります。被災地を歩くときは注意しましょう。
 
また、この調査は震災直後の二次災害防止を目的としているため、地震保険や公的な援助が得られる罹災証明等とは関連がありません。 

                          担当 長村峰行

 


緊急フォーラム「震災を考える」のご報告(石村)

建築家カタログメンバーの石村です。
フォーラムでは僕は構造設計もしているということで、地震に対する構造的なお話をさせていただきました。

■地震の規模について
一般的に報道されるのは
マグネチュード:震源から放出される地震波のエネルギーの大きさ
震度:ある地点での地震の揺れの程度
ですが、構造物の設計に当たり重要視される地震の規模を示す数字としては
ガル:地震動の加速度で一秒間にどれだけ速度が変化したか表す単位
   重力の加速度は980ガル(=1g)

という単位があります。
ジェットコースターに乗ったときに「横Gがかかる」などと言う表現もありますが、揺れの力とスピードを表す数値でおおよそ
 震度4 :  40〜 110 gal
   5弱: 110〜 240
   5強: 240〜 520
   6弱: 520〜 830
   6強: 830〜1,500
   7 :1,500〜 

ということになっていますが、過去の大震災を見ると
阪神淡路大震災   1995年 M7.3 震度7     818ガル
能登半島地震    2007年 M6.9 震度6強    945(544)
岩手・宮城内陸地震  2008年 M7.2 震度6弱   4022(699)
東日本大震災    2011年 M9.0 震度7    2933ガル

となっており、必ずしも被害と連動はしていません。
これは、地面の揺れが建物にどのように影響するのかと言うこともあるからです。
また、揺れの振幅、周期、持続時間・・・等も影響します。
地盤が軟らかい、堅い、とか、建物の構造によっても地面の揺れが建物にどう影響するのかが問題です。
建築基準法の規定でもそのあたりも数値化されており、現行の建築基準法に則って設計すれば上記のような大震災でも耐えれるようになっています。


■建築基準法の耐震基準
50年に3〜4回程度遭遇する地震(中地震)に対しては、建物の機能を保持する
50〜100年に1回程度遭遇するかもしれない程度の地震(大地震)に対し、建物の架構に部分的なひび割れ等の損傷が生じても、最終的に崩壊からの人命の保護を図る

中地震時程度の地震力としては、震度5強程度で80〜100gal程度
大地震時の地震力としては震度6強〜7程度で300〜400gal程度



■木造建物の耐震性能(水平力に対して)
筋違の量とバランスが重要。


緊急フォーラム「震災を考える」のご報告(三村)

 

建築家カタログメンバーの三村です。

416日に開催しました緊急フォーラム「震災を考える」において、

私は震災当日やその後の東京の様子、そして今回の震災を通して露呈した問題点や

今後のための検討点についてお話しさせていただきました。

このブログでは後者を中心に、発表した内容を簡単にまとめて

ご報告したいと思います。

 

 

■耐震性について

東京タワーの先端が曲がってしまった、高層ビルが10分以上にわたり揺れ続けた、キッ

チンカウンターが移動した・・・というような驚くべき事実の数々が今回の震災による揺

れがいかに大きかったかを物語っています。ですが、この震災で建物が崩壊したとい

う報告は少なくとも都内では無かったようです。これは関東直下でなかったことも影

響があるでしょうが、これまでに何度も改正された耐震基準によるとも考えられます。

ただ外壁やガラスの落下、駐車場のスロープが崩壊した事例も多数あったようですか

ら、今後はサブ構造材の耐震性能も問われることになるかもしれません。



 

■津波について

今回の震災で一番大きな被害をもたらしたのは言わずもがな、この津波でした。東京

でも湾岸地域だけでなく、銀座や新橋(これらの地域も埋め立て地です)でも大津波警

報が発令されました。実際、隅田川では最大1.5m水位が上がったという報告がありま

した。今回の大被害から考えても、東京湾近郊を震源地とする地震があった場合を想

定した津波対策の再確認、再検討は急務と思われます。


 


■液状化について

津波や原発といった東北地方の震災情報が最優先されていたこともあり、当初あまり

報道されませんでしたが、震災直後から江東区や浦安などで液状化が発生し、上下水

道はじめ様々なインフラが破損し、住人達が大きな被害に遭っているという報告

twitter等でなされていました。建物本体は無事であるにも関わらず、液状化のため

に家全体が傾いてしまったり、建具が開かなかったりという被害が出ているようです。

埋め立ての時期によって被害の差がハッキリ出てしまっているようなので、液状化防

止対策も強化される必要があると思われます。


 


■停電について

福島の原発事故を受け、大規模な計画停電が実施されました。都内、特に23区内では

実施が見送りになる地域が多かったのですが、電車の運行本数が減らされたり、コン

ビニや駅などの照明が一部落とされたり、都市生活での大規模な節電対策が行われま

した。都内の生活において、この事が震災の影響として一番影響が大きかったことか

もしれません。これまでの設計において電気が無い生活というのは恥ずかしながら、

まさしく想定外でした。今回の件を機にソーラーパネルなどの発電対策や自家発電設

備の設置検討、また空調機や照明の節電対策なども計画や設計の段階から検討するこ

とが必須となりそうです。


 


■避難について

今回の震災でいわゆる帰宅難民になったと言う人が大勢いました。私は自宅まで3時間

かけて歩きましたし、8時間以上歩いて帰った友人もいます(なかには初めから帰宅を

諦め飲み屋やカラオケボックスで夜を明かした強者も居ますが・・・)。後の報道で知っ

たのですが震災直後、真っ先に売り切れたのが自転車とスニーカーだといいます。普

段歩くことに慣れていない都市生活者には、これも非常に辛い震災の影響と言えまし

たが、金沢のような車社会の都市においても決してあり得ない状況では無いと思いま

す。


 


■防災対策について

上記のように検討すべき防災対策は多岐にわたりますが、今回の震災を機に各個人、

家庭での防災対策の必要性が再認識されたと思います。残念ながらそれが水やパン、

乾電池といった商品が買い占められ、店頭から消えるという事態を招いてしまいまし

たが、日頃から防災意識を持ち、様々な状況、事態に備え、その準備をしておくのは

決して悪いことではないと思います。例えば、震災直後、携帯が通じなくなり、連絡

を取る手段が一時、公衆電話のみになりました。今ではすっかり使う機会がありませ

んが、公衆電話のある場所を覚えておくこと、10円玉やテレホンカードを用意してお

くことも大切だったりします(ちなみに阪神大震災の時には紙幣はその信用性やおつり

をわたすことの煩わしさから嫌がられたそうなので、500円玉や100円玉といった硬貨

を用意しておく方がよいそうです)。


 

 

北陸地方は比較的地震の少ない地域だと言われています。ですが2007年に能登で地震

があったように、今回の東日本大震災は決して対岸の火事ではありません。都市構造

や社会環境が都心部とは全く違うとは言え、今回の震災の教訓を今後のデザインや設

計、ひいては町作り都市計画に活かされることが強く求められています。我々はこの

ことを強く肝に銘じておかねばなりません。


緊急フォーラム「震災を考える」のご報告(総括)

 

さる、4月16日 ヤマギシショールームにて 緊急フォーラム

「震災を考える」が行われました。

東日本震災をうけてカタログのわれわれ、ひいては建築家になにが

できるかを考えました。皆様の

関心も高く、多くの一般聴衆にもお出で頂き、耳を傾けていただき

ました。

 

全体の進行としては

 

・過去事例の報告を能登地震の実際の調査診断の報告が高屋会員より

・3月11日当日の東京での体験報告が三村会員より

・被災建築物応急危険と判定とは? 長村会員より

 

・建物の耐震基準について 中出・石村会員より

・耐震改修について 野手会員より

・災害時の住宅のエネルギー自立の方策について 松本会員より

 

などのいろいろな側面から震災時に建築がなにができるかについて

討論が行われました。

最後に飛び入りで建築家の橋本浩司さんより、行ったばかりに東北

の震災の状況と支援についての方向がありました。

 


1/29 リレートークショー05

 建築家と考えるこれからの家づくり
クライアントとの住まいづくり〜設計依頼から竣工まで〜

本年度最後のトークショーです。お気軽にお越し下さい。
入場無料です。

日時:2011.1.29(土)14:00〜16:00
会場:ヤマギシショールーム(金沢市小金町3-31)
家山真(家山真建築研究室)/吉島衛(吉島衛建築研究室)/由田徹(U+)

10/23 リレートークショー03 「すまいの再生・10のコツ」 新聞記事

 

「里山の住まい・街中の住まい」まとめ(松本大)

 

大変おそくなってしまいました。

4人目の松本です。

 

トークショーで私が提示した 3枚の写真は 順に 「縁側」「郊外」「大倉山の集合住宅」でした。

これは時代の流れに対応しています。

 

まず、縁側。 イメージとして里山。そこには緊密なコミュニテイがあったのではないか。お家同士が

関係して共に生きていく。またそうでなくては生きていけない。「縁側」はそういった人々の曖昧な

関係をつくり出していく場所です。



 


「郊外」の写真はとても悲惨な、狭小の宅地に住宅がぎっしり建て込んでいて、そして、お互いの関係

が見えない写真です。集まって住んでいるのに、お互いの関係がない。それは悲しいように見えて、実は

我々のいまいる、社会であり、制度なのかもしれません。風景は制度を象徴しているのですね。


 




そして、最後に妹島和世さんによる、東京郊外の小さな集合住宅。「郊外」を越えることをもくろんでいる

と私は読みました。建物の固まりの中に小さな庭があって、その庭には外部のひとも自由にはいっていくことが

できる。お互いの住人の関係もある。「縁側」のようなものはないけれども、お互いの関係をつくりだしている。

「現代の里山」のような意識があるのではないかと思ったのです。

 




3つの流れを意識してみて、今思う大事なことは、やはり「住宅は商品ではない」ということでした。そう考える

ことで寂しい「郊外」を乗り越えていけるし、我々 建築設計にたずさわるものが御手伝いできる甲斐もあるのでは

と考えています。

********************************************

松本大

@松本大建築設計事務所

 

920-0864

金沢市高岡町23-18-1F

tel/fax 076-222-3800 

mail:info@matsumotodai.jp

web:www.matsumotodai.jp

********************************************


「里山の住まい・街中の住まい」まとめ(吉村寿博)

建築家カタログメンバーの吉村寿博です。
先日のトークショーに参加してみて、感じたことを綴りたいと思います。

前段として、
建築家カタログというグループには20名弱の建築家が参加していますが、住宅に対する考え方は当然ながら各々バラバラです。これは建築家の個性と言えます。
トークショーのよいところは、建築家の個性を知ることが出来ることです。数人の参加建築家が写真を写しながらテーマに沿ってざっくばらんに意見を述べ合うことにより、その建築家の考えが浮き彫りにされるのです。トークショーにおいては、建築家が何を考えているのか、ひととなりとともに、感じていただけるよい機会だと考えています。

さて、本題に戻りますが、
昨年の「里山の住まい」をおさらいしつつ「街中の住まい」についても考えてみようというのが今回のトークショーのねらいでした。というのも、現在我々が生活・設計する機会は、里山から街中へ移行しているからです。今年度のテーマ「建築家と考えるこれからの家づくり」にあたり、改めて「里山」や「街中」を考え直してみようという試みです。

僕が興味を持っていたのは、個々の住まいそのものではなく、やや俯瞰的に見た町並みや、住まいの建ち方のスタイル、といったものでした。里山においては、住まいは個人の財産ではなく、共に生活する共同体の一部として成り立っていました。「ゆい」や「地産地消」は、当時の生活スタイルから考えれば非常に自然な成り行きで行われていました。
世の中に物が溢れ、自分の好きな物を選べる時代になった時、住まいの建ち方や町並みが大きく変化して来たと言えます。所有の境界をはっきりさせる為に敷地境界線には塀が建てられたりします。また、日本全国どこに行っても同じような家が建てられるようになりました。これは工業化の発展が大きく影響しています。

現代の住宅が建ち並ぶ最中、金沢市寺地には農家が多く残っています。
すぐ近くには量産された賃貸アパートが建ち並び、ひとつの景観を形成しています。
宅地分譲された住宅街では、協定か何かで定められた車道沿いの緑化ゾーンが広がっています。

建築単体の話だけするのではなく、群として何を考えればよいか?という議論がトークショーの中で出来たのは楽しかったです。

何か正解がある訳ではありません。
ここをこうすればよくなるという特効薬があるわけでもありません。

自分の敷地内のことだけ考えるのではなく、周辺との関係性や町並みのことも考える。
考え続けることが一番重要なことだと思っています。
話が拡散しましたが、これにて結びとしたいと思います。

吉村寿博建築設計事務所
http://www.yoshimura-archi.com
http://yoshimura-archi.blogspot.com



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